MicroAd Developers Blog

マイクロアドのエンジニアブログです。インフラ、開発、分析について発信していきます。

リモートワークでDiscordを導入しました

マイクロアドのサーバサイドエンジニアでチームリーダーを担当している松宮です。

マイクロアドは先月まで全社員フルリモートで、現在はリモートワークを取り入れた新しい働き方を模索している段階です。

リモートワークにおけるコミュニケーションは大きな課題であり、いくつかの試行錯誤がありました。現在はタイトルにもあるように音声・ビデオ通話ソフト「Discord」を導入することで、コミュニケーションの改善をはかっています。

今回は、Discordを導入して、どのようにコミュニケーションを改善したかをご紹介したいと思います。

Discordとは

そもそもDiscordとは、無料で利用できるゲーマー向けの音声・ビデオ通話ソフトです。クラウド上にサーバをホスティングし、ユーザを招待することで、複数人が相互にやり取りできるのが特徴です。

また、Slackのようにチャンネルを作成し、各チャンネルで音声通話やテキストチャットができるので、同じサーバ上でAさん、Bさんが会話しながら、Cさん、Dさんが別のチャンネルで会話するといったことが可能です。

下図のような画面構成になっており、左側にチャンネルの一覧とそこに参加しているメンバーの一覧が表示され、右側にはサーバに参加しているメンバーが表示されます。中央はテキストチャットやビデオ通話・画面共有時の表示領域になります。図では、チャンネル「テスト1」に「matsumiya_koji」が参加している状態を示しています。

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Discordの画面

それでは、具体的な活用方法を説明します。

個人に1つのボイスチャンネルを割り当てる

個人に1つのボイスチャンネルを割り当て、会話が可能な場合は、自分のボイスチャンネルに参加してもらいます。反対に、お昼休憩や会議等で会話ができない場合は、ボイスチャンネルから退出してもらいます。 基本的に、各人が守るルールはこれだけになります。

これにより誰が居て、誰が居ないか、誰が会話をしているかがひと目で分かります。また、個人に対して話しかけられるため、ちょっとした会話がしやすいといった利点があります。

個人的なイメージでは、オフィスのデスクで仕事をしている状態を、Discord上で再現している感覚です。

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社内での利用風景

図にモザイクがあるため分かり辛くなっていますが、個人チャンネルに参加していつでも通話できる状態の人や、既に会話している人が一覧で見られるようになっています。

このように、Discordを活用することで、オフィスにいるときのようなコミュニケーションを取れると考えました。一方で、新しいツールや制度の導入は慎重に行うべきだと考えています。

導入障壁

Discordを社内で利用するためには以下のような導入障壁がありました。

  • Discordの利用規約に則っているか
  • 開発チームに受け入れてもらえるか
  • プライバシー/セキュリティの問題

これらに関して、どのように解決したのか説明します。

そもそも「商用利用」はできない

第一に、Discordを法人が社内コミュニケーション、会議等で利用できるか確認する必要があります。 Discordはゲーマー向けの音声・ビデオ通話ソフトであり、法人向けの有料プランは用意されていません。

そこで、利用規約*1を見ると、以下の記載があることが分かりました。*2

お客様の個人的な非商用利用のみを目的とした本サービスの利用およびアクセスについての限定的、取消可能、非独占的、譲渡不能、サブライセンス不可なライセンスを供与します。

つまり、商用利用は禁止としています。社内コミュニケーションが商用利用にあたるかは判断が難しく、利用規約に違反する可能性がありました。

そこで、マイクロアドからDiscord Inc.に問い合わせてもらい、以下の回答を得ました。(一部抜粋、要約しています)

Discordを使用して、同僚と自宅で仕事をしながらコミュニケーションされる場合、まったく問題ございません。一方で、公式ゲームの公式サポートフォーラムまたは会社のサポートフォーラムとして使用している場合、それは別のものです。

要するに、社内コミュニケーションはOKで、顧客に提供するサービスの一部に使うのはNGということになります。 よって、Discordを社内のコラボレーションに利用することは問題なく、正当な利用であることを確認できました。(商用利用とは、会社が顧客に提供するサービスの一部にDiscordを利用することを指していたようです)

それでは続いての問題です。

新しいツールをどうやって受け入れてもらうか

既にSlack、Google Meet、一部Zoomを採用しており、さらにDiscordが増えるのはある程度の拒絶感はあると考えていました。 そこで、まずは小さく始めようとチーム内だけで導入しました。チームメンバーだけならば人数も少なくサポートもしやすいので、理解を得るのは比較的容易です。

それでしばらく試験運用し、Discordの有用性を他のチームリーダーに説明していきました。結局、突然のフルリモートの導入に引っ張られる形で、Discordを導入してもらうことになったのですが、1ヶ月程度の試験運用とチームリーダーへの説明、一部のチームには導入を進めてもらっていたので、大きな混乱なく進められたと思っています。

今回に限りませんが、新しいツールや制度を導入する場合、いきなりの導入ではなく徐々に導入していくことが重要だと思っています。

最後はDiscordの安全性やプライバシーの取り扱いについての懸念です。

Discordのプライバシーポリシーとセキュリティ

プライバシーポリシー*3に下記の文言があります。

Information You Provide: We collect information from you when you voluntarily provide such information, such as when you register for access to the Services or use certain Services. Information we collect may include but not be limited to username, email address, and any messages, images, transient VOIP data (to enable communication delivery only) or other content you send via the chat feature.

意訳すると、

「あなたが提供する情報: Discordに登録、または利用する際にデータの利用に同意する場合、私たちはデータを収集します。私たちが収集するデータはユーザ名、メールアドレス、送信したメッセージ、画像、一時的なVoIP(音声を伝達するためのみ)、その他のチャットで送信したコンテンツです。」

のようになります。 今回は音声通話の利用が主目的で、チャット等の機能は利用しません。そのため、「一時的なVoIP(音声を伝達するためのみ)」ということであれば、社内での利用は問題無さそうでした。

その他にもIPアドレス、デバイスID、サービス内のアクティビティの収集やそれらを人口統計、興味、行動の分析に利用する等の記載もありますので、利用用途によっては熟読することをお勧めします。

また、Discordの設定画面より、収集対象のデータを制御できるようになっており、また個人データのコピーをリクエストする機能も備わっているようで、個人情報の取り扱いは安心感があります。

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設定画面でプライバシーに関する設定ができます

セキュリティに関しては、サーバ全体の管理、個別のユーザの管理、アプリ自体のセキュリティの3つの観点で調査しました。

  • サーバ: サーバは一時的な招待コードを共有された場合にのみ参加でき、ユーザ毎の権限管理が可能です。また、監査ログが記録されるためトラブルが発生した場合の原因調査ができるようになっています。

  • ユーザ: 二要素認証、reCAPTCHAに対応しています。また、ログイン時の地域が異なる場合に本人確認を求める等、アカウントの安全性は高そうです。

  • アプリ: 通話内容は暗号化*4されており、盗聴の心配は少なそうです。

以上の観点でプライバシー、セキュリティは問題ないと判断してもらいました。

おわりに

リモートワークを取り入れた働き方はまだまだ模索段階ではありますが、マイクロアドではSlack, Google Meet, Zoom, Discord等を活用し、快適なコミュニケーションはできているように思います。

特に今回、Discordを取り入れたことで、会議を開催する程ではないし、すぐにレスポンスが欲しいような話題が扱いやすくなったのではと思っています。

それでも、不便が無い訳ではなく、まだまだ改善の余地はありますが、この記事が皆さんにとって、何らかのご参考になれば幸いです。

*1:https://discord.com/terms

*2:現在は利用規約が改定されており、商用利用に関する記述は無くなっています。

*3:https://discord.com/privacy

*4:https://blog.discord.com/how-discord-handles-two-and-half-million-concurrent-voice-users-using-webrtc-ce01c3187429