こんにちは。プラットフォームエンジニアリングユニットの河田です。
私は2026年5月にシステム開発部へ異動し、7月にGoogle Cloud認定資格Associate Cloud Engineer(ACE)に合格しました。異動からちょうど3ヶ月です。
こう書くと順調そうに見えるかもしれませんが、実際にはそうでもありません。勉強を始めてからも「無謀なのではないか」という不安がずっと消えませんでした。それでもなんとか3ヶ月で届いたのは、周囲のサポートと学習環境に恵まれていたこと、そして途中で学習のやり方を変えたことが大きかったと考えています。
この記事では、
- 3ヶ月でやったことと、つまずいたところ
- 途中で切り替えて効果があった勉強法
- 意外と情報がない、申込み〜試験当日の流れ
について書きます。ACEはAWSやAzureの資格に比べて日本語の情報が少なく、私自身戸惑いましたので、この記事が、同じように困っている方の助けに少しでもなれたら嬉しいです。
これまでの経験
体験記は書き手の前提次第で参考度が変わりますので、私のこれまでの経験について書いておきます。
- マイクロアドに中途入社後、総務や秘書などコーポレート部門で8年勤務
- うち最後の3年は、総務を主務としながら、メインの担当者をサポートするかたちで、情シス・IT戦略を兼務。Google WorkspaceをはじめとするITサービスの管理者や、アカウント管理・セキュリティ教育などのIT統制、デバイス管理、ヘルプデスクなどを担当
- 情シスとIT戦略の業務をはじめたころに、基本情報技術者試験を取得
- 2026年5月にシステム開発部プラットフォームエンジニアリングユニットへ異動、Google Cloud(GCP)担当に
こう並べると、意外とITに触れているのではと思われるかもしれませんが、私が見てきたのはいわばITの「利用と統制」の側面です。Google Cloudはもちろん、サーバーやネットワークといったインフラの中身についてはほとんどわからず、特にデータベース、コンテナ、Kubernetesは白紙でした。
つまり異動時点では、「エンジニア経験はないけれど、ITの基礎知識と、IT管理の経験が少しあった」という状態です。完全にゼロの状態からいきなりACEに挑むのはかなり大変だと思います。基本情報の勉強をしていたことには、ずいぶん助けられました。また、総務と情シス・IT戦略での経験(特にアカウント管理や権限設計、コスト管理の感覚)は、IAMとBilling、監査の分野で思いがけず活かすことができました。畑違いに見えるキャリアでも、どこかで繋がっているものだなと思います。
受験のきっかけ
きっかけは、当時のチーム目標のひとつに 「ACE合格者を2名以上出す」が掲げられていたことです。この目標には、「Google Cloudを資格取得というかたちで体系的に学ぶことで、クラウド運用のベストプラクティスを習得し、パブリッククラウドだけでなくオンプレミスの運用などインフラ全体の底上げに役立てる」という狙いがありました。すでに合格している先輩が主催する社内勉強会も走っていて、異動してきた私はそこに合流させてもらうことになりました。
最初は「初心者の私が受けていいものだろうか」という気持ちでした。ただ、日々の業務で断片的に覚えていく知識を、どこかで体系立てて整理したいとも思っていました。ACEはプロジェクト設定、IAM、ネットワーク、運用といった基礎的な実務スキルを問う試験です。業務の地図を手に入れる目標としてはちょうどいいと思い直して、挑戦することにしました。
恵まれていた学習環境の話
先にお伝えしておくと、今回の合格は自分の力というより、マイクロアドでの環境と周囲のおかげによるところが大きいです。特に感謝している点をいくつか振り返ります。
合格者が主催する社内勉強会があった
独学でいちばん難しいのは、教材選びでも理解でもなく「続けること」だと思います。社内勉強会は、自然とペースがつくられます。ひとりだったら挫折したかもしれない本を、理解を深めながら、最後まで読み切ることができました。ACEの勉強会とは別で、同時期にKubernetesの勉強会もチーム内で実施されており、こちらも大変助けになりました。
参考図書がオフィスにあった
社内勉強会では通称・黒本(『徹底攻略 Google Cloud認定資格 Associate Cloud Engineer教科書』、インプレス、2023)を購入していただき、使用しました。その他にも、関連する参考図書が多数社内にあり、手を伸ばせばすぐ学び始められる環境はありがたかったです。書籍の情報がやや古い箇所は、公式ドキュメントで補いながら読みました。
資料作成の担当をさせてもらえた
勉強会の資料作成を一部担当させてもらえました。当時の知識では苦戦しましたが、これが結果的にいちばんの勉強になりました。人に説明する前提で調べ直すと、理解の解像度がまったく変わります。機会があるなら、勉強会の企画や資料作成にぜひ手を挙げてみることをおすすめします。
会社のGoogle Cloud検証環境を自由に使えた
ACEは理論よりも「実際の運用でどう判断するか」を問う試験です。コンソールとgcloudを触った時間がそのまま理解につながる感覚がありました。課金を気にせずつくって壊せる検証環境があったのは、とても大きなアドバンテージでした。
3ヶ月の学習の流れ
個人での学習は、「インプット → 演習」という王道の流れで進めました。ところが実際には演習の途中で一度、行き詰まっています。
インプット期 — 前提知識が足りない
- 黒本を勉強会のペースで通読+担当章の資料作成
- 『図解即戦力 Google Cloudのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書[改訂2版]』(技術評論社、2024)で全体像を補強。図解が多く情報も比較的新しいので、黒本の前後に読むのに向いています
- 苦手分野(データベース、コンテナ、Kubernetes)は、UdemyやYouTubeのハンズオン系動画を部分視聴
最初の1ヶ月半は、インプットに時間を使いました。Google Cloud以前に「そもそもコンテナとは」「SQLとは」のインプットが必要でした。ここに時間がかかったのは事実ですが、結果的にインフラの基礎ごと身についたので、遠回りではなかったと今は思えます。
演習期 — 解いても伸びない
実力測定として、まず公式の模擬試験を1回解きました。その後、Udemyの模擬問題集に着手しました。 ここで壁にぶつかります。もう試験は3週間後なのに、問題を解いても解いても、正答率が思うように伸びないのです。「量をこなせばそのうち慣れるはず」と自分に言い聞かせながら、内心は焦っていました。
転機 — 「ユースケースで学ぶ」というアドバイス
そんなとき、先に合格していた先輩が、「ユースケースに注力して学ぶといい」と教えてくれました。さらに、「この要件・この状況なら、このサービスを選ぶ」というかたちで整理された、ユースケースの一覧表まで用意してくれたのです。それまでは、サービスの名前と機能を単体で覚えようとしていました。しかしACEの問題が問うてくるのは「運用判断」です。そもそもの覚え方を、誤っていました。
先輩の表をベースとして、間違えた問題を中心に、自分でもユースケースを書き足していくようにしました。ユースケース表が育っていくのに比例して、問題が解けるようになっていきました。
勉強法の見直し
このタイミングで、勉強のやり方を見直しました。それまでは「たくさん解く」「幅広く学ぶ」ことに意識が向いていたのですが、一問ずつじっくり向き合う方針に切り替えました。
- なぜ間違えたのか、どうしたら正解できたのかを、言葉にして残す
- 文章だけではイメージがわかないものは、実際にコンソールで確かめる
- Google Cloudを使った社内の案件資料を読み込む
進みは遅く感じます。しかし、正答率が目に見えて上がったのはこのやり方に変えてからでした。振り返ると、教材の数や周回数よりも、一問から何を持ち帰るかのほうがずっと大事だったと思います。
また、これは半分趣味ですが、学習アプリの自作も効果がありました。gcloudコマンドのチートシートや一問一答のクイズアプリを、Firebaseでホスティングして通勤中に回していました。「Google Cloudを勉強しながらGoogle Cloudでツールをつくる」ことで、理解が進みました。
申込み〜当日の流れ(情報が少なくて困ったところ)
ここからは試験の中身ではなく手続きの話です。私が情報不足でもっとも困ったのは、実はこの部分でした。
受験者ポータル(CertMetrics)の登録
ACEの受験には、Googleアカウントを用意したあと、Google Skillsという学習プラットフォームに登録し、そこを経由して最終的に、CertMetricsという受験者ポータルのアカウントが必要です。
いちばん不安だったのが「身分証(日本語表記のみ)とポータル登録名(英字)が一致しないけれど大丈夫なのか」という問題です。他の方の体験記では「漢字氏名の追加申請が必要」とされていることが多く、私もサポートに問い合わせました。結果、登録は英字のままで、公的身分証が日本語表記でも問題ないとの回答でした。
申込みと費用
試験は、オンライン監視による自宅受験か、テストセンター受験かを選べます。私はテストセンター受験にしました。自宅の受験環境を整えるほうが大変そうに感じたこと、ネットワークやPCのトラブルが不安だったことが理由です。
- 言語は日本語を選択
- 支払いはクレジットカード(JCB / VISA / Mastercard / AMEX)またはバウチャーチケット
- 受験料は125 USD+消費税10%で合計137.50 USD(申込みと同時にそのときのレートで即決済されます)
試験当日
私が選択した東京都内のテストセンターでは、このような流れでした。
- 受付で説明を受け、身分証を提示。マイナンバーカード1点でOKでした
- 同意書にサイン、写真撮影、荷物はロッカーへ
- 席に持ち込めるのは、会場貸出のホワイトボードとペン、身分証、ロッカーの鍵のみ。腕時計はアナログでもNGです
- 早めに到着した場合、席が空いていればそのまま前倒しで受験ができました
試験時間は120分ですが、端末操作と試験の説明時間が別枠で15分あります。私はゆっくり解いて1周1時間ほど、全問見直しに20分かけました。時間切れの心配はあまりしなくてよい試験だと思います。
そして、終了ボタンを押すとその場で合否が表示されます。「合格」の文字が見えた瞬間、心底ほっとしました。
試験後
- 30分ほどでGoogleから合格案内のメールが届きました
- Credlyというサイトに登録すると、デジタル認定証やSNS共有用のバッジをダウンロードできます
- 合格者向けのコミュニティやイベントもあるようです
おわりに
チーム目標だった「ACE合格者2名以上」に、なんとか貢献できました。とはいえ資格はスタートラインで、実務ではまだまだ先輩たちに助けられる毎日です。書籍や検証環境だけでなく、惜しみなく知識の共有をしてくれる仲間がいて、振り返るほど学べる環境が揃った職場だと感じています。 この3ヶ月で得た知識を日々のGoogle Cloud運用に還元し、継続して学び続けられる人でありたいです。
お読みいただき、ありがとうございました。
※ 受験料・手続きの情報は2026年6月時点のものです。