システム開発本部フロントエンドエンジニアの工藤です。
マイクロアドの WEB アプリケーションのフロントエンドは、大半を Vue.js を用いて開発しています。 そこで、フロントエンドエンジニアとして効率の良いVue.jsの開発を目指し、日々奮闘しています。
今回は、Vue.jsでのグローバル定数管理についてお話していこうと思います。
はじめに
マイクロアドには様々なプロダクトがありますが、私の担当しているUNIVERSEというプロダクトについては、 フロントエンドフレームワークにVue.jsを利用し、SFCを採用しています。
Vue.jsやSFCについては、以前の記事を参考にするとより詳しく理解頂けると思います。
また、props down
、 events up
の思想にならいながらコンポーネントの細分化を行うことで開発効率上昇やUIの統一化を図っています。
その際コンポーネント化を難しくさせる要因として、下記がVueファイルの中に混在している点があると感じています。
- テンプレート(HTML、 CSS)
- 描画用データ(初期表示のデータやドメインデータなど)
- 描画ロジック、 ビジネスロジック(computed、 methods、 その他ライフサイクル)
グローバル定数管理を見直したきっかけ
今回、特に注目したいのがテンプレートと描画データの部分になります。
templateとdataプロパティ
例えばこのような記述があったとします。
<template> <div> <div v-for="sample in samples" class="display-flex"> <div class="width-100">ID :</div> <div class="text-align-right">{{ sample.id }}</div><!-- 数字だけ右寄せ --> <div class="width-100">名前 :</div> <div>{{ sample.name }}</div> <div class="width-100">ステータス :</div> <div>{{ sampleValue(sample.status) }}</div> </div> </div> </template> <script> export default { data() { return { samples: [ // 本来はAPIから取得するデータ { id: 1, name: 'サンプルデータ', status: 'active' }, { id: 2, name: 'サンプルデータ2', status: 'stop' }, { id: 3, name: 'サンプルデータ3', status: 'stop' } ], sampleStatusView: { // ステータス状況によって出力するテキスト active: 'アクティブ', stop: '中止' } } }, methods: { sampleValue(status) { return this.sampleStatusView[status] } } } </script>
status
が同ページ内で何度も使用され、孫コンポーネントやその先まで渡す必要がある場合、その間すべてにprops(sampleStatusView
)を記載する必要が出てきます。
Vuexとの区分
こういった親子間以外でのデータの受け渡しや管理方法としてVuexが特に取り上げられると思います。 ですが、プロジェクトが大きくなってくるにつれて今度はVuexのstoreが肥大化するケースが見受けられるようになってきました。
そこで、データ管理方法の一環として、sampleStatusView
のような変化のない描画に必要なデータを別ファイルに切り出しディレクトリ管理することにしました。
(ここではconstディレクトリとします。)
Vuexとの使い分けは主にこのようにしています。
- 定数やその定数に対する描画テキスト -> constディレクトリ配下
- APIから取得してくるようなドメインデータ -> Vuex
グローバル定数の定義方法
今回の記事の本題になります。
まずは問題として挙げていた、sampleStatusView
の切り出しを行ってみます。
const SAMPLE_STATUS_VIEW = { active: 'アクティブ', stop: '停止' }
<script> import SAMPLE_STATUS_VIEW from '@/cost/sample.js' export default { data() { return { samples:[] // sampleStatusViewは削除 } }, methods: { sampleValue(status) { return SAMPLE_STATUS_VIEW[status] } } } </script>
dataプロパティから別ファイルに切り出されただけですが、これで孫コンポーネントやその先までpropsで渡さずとも、そのファイル内でimportして使用することができます。 ただ、この方法はあくまで定数にのみ適用することには注意が必要です。
応用
id
、name
、status
の表示部分がほぼ同様のDOM構造を繰り返し出力しています。idだけ右寄せにするためのCSSclassを付与することを描画用データとして持ち、constディレクトリ内で定義して活用をしてみます。
const SAMPLE_LABELS = { ID: 'id', NAME: 'name', STATUS: 'status' } const SAMPLE_LABEL_VIEWS = [ { property: SAMPLE_LABELS.ID, label: 'ID', isRight: true }, // idだけ右寄せCSSclassが付与される情報を持つ { property: SAMPLE_LABELS.NAME, label: '名前' }, { property: SAMPLE_LABELS.STATUS label: 'ステータス' } ] const SAMPLE_STATUS_VIEW = { active: 'アクティブ', stop: '停止' }
<template> <div> <div v-for="sample in samples" class="display-flex"> <template v-for="SAMPLE_LABEL_VIEW in SAMPLE_LABEL_VIEWS"> <div class="width-100">{{ SAMPLE_LABEL_VIEW.label }} :</div> <div :class="{ 'text-align-right': SAMPLE_LABEL_VIEW.isRight }"><!-- 数字だけ右寄せ --> {{ sampleValue(sample, SAMPLE_LABEL_VIEW) }} </div> </template> </div> </div> </template> <script> import { SAMPLE_LABELS, SAMPLE_LABEL_VIEWS, SAMPLE_STATUS_VIEW } from '@/cost/sample.js' export default { data() { return { samples:[] // sampleStatusViewは削除 } }, computed: { SAMPLE_LABEL_VIEWS() { return SAMPLE_LABEL_VIEWS } }, methods: { sampleValue(sample, SAMPLE_LABEL_VIEW) { const property = SAMPLE_STATUS_VIEW.property return property === SAMPLE_LABELS.STATUS ? SAMPLE_STATUS_VIEW[sample[property]] : sample[property] } } } </script>
importした SAMPLE_LABEL_VIEWS
をtemplateで使用するためには一度、Vueインスタンスに含める必要があります。そこで参照のみであることも踏まえ、computedに定義することでtemplateで活用しています。
SAMPLE_LABEL_VIEWS.label
に関しては、もうお気づきかもしれませんが、本来サーバーサイドで行われることの多いenum定義をフロントで行っていることになります。
そして、そのデータと共に描画用情報(今回はCSSclassを付与するかどうか)を持つことでtemplateを簡略化しています。
あくまで定数をjsファイルに切り出し、グローバルデータとして管理することでバケツリレーを防ぐのがメインですが、描画用情報も管理することでデータ管理を楽にしています。
終わりに
constディレクトリによるグローバル定数化を導入して、コンポーネントと描画用データの分離まで行ったことにより、開発効率が向上したように感じています。 ですがこれで終わりではなく、下記の展望も見えています。
const、 viewの使い分け
定数と描画用情報(今回で言うところのisRight)を厳密に分けることも考えれますが、不用意に複雑になる可能性があり、検討中です。
jestによるテストへの活用
テストには、テストデータが必要になってきます。例えば、status
に アクティブか停止が必ず表示されているのかをテストするならば、SAMPLE_STATUS_VIEW
を活用することが出来そうだと思います。
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少しでも参考になれば幸いです、ご覧いただきありがとうございました。